Description | 猫又はふたつのしっぽをもつ妖怪だ。猫又は自分のしっぽを、飼い主が小判のおしりにぶっさす紐そっくりにまねた。コンセントプラグ、3.5mmステレオミニプラグ、USB Type-A,C、DisplayPort、HDMIなど、しっぽはなんにでも変換できる汎用コードとなった。これ使えと猫又はふたつのしっぽをふりふりすると、わけがわからず最初は当惑する飼い主だが、ちょうど変換ケーブルもほしかったし、おそるおそる使ってみた。猫又は、入力も出力もほしい配線をほしいときにだしてくれた。飼い主はいちいち目当ての線を探す手間が省けた。ある日、飼い主がよくみている手乗り鏡のなかで、長髪の髭面男が叫んでいた。それをみた猫又に古い記憶がよみがえった。手乗り鏡のなかの小さな人間は三味線のようなものを弾いているのだ、と思った。猫又も弾いてみたくなった。前世の影響だろうか、三味線を弾いていたときの記憶が猫又にはまだ残っている。猫又はギターを弾きたいがために人間そっくりに擬態した。獣の面影を残すが、ギターを弾く分には申し分ない体になった。アンプに繋げるケーブルも自分のしっぽからだせる。今日も飼い主がしっぽの配線を使っている間、猫又はギターを弾くのだ。「かぁ~む、あ~ずにゃ~」。自分のことをカート・コバーンだと思いこみながら。 |